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Fun Sim ハワイ大学地域医療研修を受講して

NO.14

Fun Sim ハワイ大学地域医療研修を受講して

平成27年度 岡山大学病院 研修医 大野 洋平 先生

 
私は2015年12月14日から16日の3日間、ハワイ大学にて開催されたFun Simを受講させていただきました。以下、受講して学んだことや感想を述べたいと思います。

 今回の研修の参加メンバーは全員医師の10名で、消化管外科・心臓血管外科・麻酔科の指導医の先生が1名ずつ、産婦人科の5年目と7年目の先生が1名ずつ、初期研修医は1年目が2名、2年目が3名という構成でした。
 私たちが受けたFun simと呼ばれるコースは「教え方」を学ぶ教員や指導者向けのコースでした。3日間で講義、シミュレーターを用いた実習、デブリーフィングと呼ばれる振り返りがありました。

 まず講義については、シミュレーションとは何ぞやというところから始まり、医学教育においてシミュレーションが導入されてきた経緯、医学教育におけるシミュレーションの必要性や成人学習論について学びました。成人に物事を教える際には一方通行ではなく、互いににやり取りしながら考えさせることでより学びが深まることを教わりました。またシミュレーターやシミュレーションはそれを実現するための道具であり、何を学ぶのかという明確な目標が必要であると強調されていました。

 続いてシミュレーション実習では、10人を2チームに分けて各々架空の症例を作成しました。学習者の学年や学習目標、評価方法などをチーム内で細かく検討しました。次に、チーム内で予行演習し、評価方法が適切であるかなどを議論しました。さらに相手チームのメンバーを被験者としてシミュレーションを実践し、指導や評価をどのようにするかを学びました。
 具体的な症例を提示します。私のチームでは、研修医1年目進級試験と題した、研修医1年目を対象とした試験方式のシミュレーションを作成しました。
症例は若年男性の気管支喘息で、来院1時間前からの呼吸苦を主訴に救急外来を受診したという設定でした。ここで、問診や身体診察についてチェックリストを作成し、こちらの立てた目標である、聴診所見がwheezeであることがわかる、聴診が正しくできる、β2刺激薬の吸入といった喘息に対する初期対応を理解し実践できるか、ということを評価できるようにしました。

 実習後は振り返りを行いました。GAS法という手法があり、それぞれ英単語の頭文字を取っています。Gはgatherの頭文字で、学習者がシミュレーション中に何を考えなぜその行動をとったのかを積極的に聞き出すという意味でした。Aはanalyzeの頭文字で、学習者が取った行動を振り返り、適切であったか、不適切であったかを自分で分析するよう促すという意味でした。最終的に「気づき」へと誘導させ、Sはsummarizeの頭文字で、今回のシミュレーションで何を学んだか学習者は確認するという意味でした。この過程の中で、指導者は学習者に対し「教える」のではなく「気づかせる」ことが大切であると強調されていました。

 全体を通しての感想ですが、「教え方」を体系だって学ぶことはこれまで学生時代も研修医になってからもほとんどなかったのですが、3年目以降になれば初期研修医を指導する立場になるため、今回学んだことはとても貴重であり、また指導者として学習者を「気づき」に持って行けた瞬間はおもしろい!と感じました。またシミュレーション教育の利点は失敗できやり直すことができるという点であり、この点が実際に患者さんを相手にするのと最も異なっており、医療現場にたって日が浅い私たち研修医にとっても患者さんにとっても安全で優れた学習方法であると思いました。今後は同期の山本先生、村上先生が行っているシミュレーション教育を用いた教育効果の検証という研究への関わりも含めて、さらにシミュレーション教育への理解を深めたいと思います。さらに、今後の自分の医師人生の中でもシミュレーション教育を取り入れていきたいと考えました。
 またハワイは冬の日本に比べとても暖かく、快適に過ごすことができました。セミナー後の時間には岡山から同行した先生方と親睦を深めることができ、医学教育について普段それぞれが感じている意見を交換できたこともとても有意義だったと思います。

 最後になりましたが、今回のセミナーを主催していただいたNPO法人岡山医師研修支援機構、渡航における様々な手続きをバックアップしていただいた岡山大学GIMセンターの宇野様、セミナーをコーディネートしていただいた岡山大学医療教育統合開発センターの万代康弘先生、同行した岡山からの参加者の先生方、ハワイ大学のBerg先生はじめ教員の先生方に感謝いたします。ありがとうございました。

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