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「医療×マネジメント ”山本雄士ゼミ” in岡山」ご報告

NO.44

「医療×マネジメント ”山本雄士ゼミ” in岡山」ご報告

平成28年度 岡山大学医学部医学科5年 大塚勇輝さん

 

私は、この度、GIMセンターで2月18日に開催された「医療×マネジメント ”山本雄士ゼミ” in岡山」に企画から携わり、当日も司会者として参加させて頂きました。簡単にではございますが、開催に至った経緯と当日の様子をご報告させて頂きます。


 


そもそも山本雄士先生は、元々循環器内科医でいらっしゃり、ハーバードビジネススクールで学んだ内容などを武器にして起業され、現在はビジネスの観点から日本の医療問題の解決に取り組んでいらっしゃる先生です。その山本先生が、医療問題に向き合いリードできる共通言語を持った医療人を育成するために6年前に始められた勉強会が「山本ゼミ」であり、東京で60回以上開催されています。


 


私は、昨年夏、山本ゼミに参加する機会があり、そこで、目から鱗な経験をしました。「医療費の高騰はよく問題視されるけれど、一般産業の市場規模拡大は喜ばれるのはどうして?」という問い掛けに対して、明確な答えを述べることが出来ませんでした。そもそも考えたことすらなく恥ずかしく、医学生も医師になる前にそういう視点に気が付いて考える必要があると強く感じました。医系技官の出身大学として第2位を占めるとも聞いたことがある岡山大学の学生が、医療業界を知らないで良い筈がありません。


 


そこで、GIMセンター・片岡仁美先生にお願いをして、山本先生を岡山大学にお呼びして頂きました。午前中は山本先生に、医療を取り巻く現状についてご講演頂きました。「What is "your own value"?」という問い掛けで開始されたお話は、将来我々が活躍する医療フィールドの現状や先行きの話になり、日々アップデートされる知見と拡大する医療範囲や環境変化のなかで何が医療者に出来るのか、新薬は高価なのが常識だがそれがいかに奇妙なことであるか、などといった話に続きました。今の医療に欠けている価値観を知り、我々が医師になる上で何すべきか考える必要があると気が付くことができました。始めは参加者の表情も硬かったのですが、山本先生の分かり易い具体例とユーモアセンス溢れるトークによって次第に引き込まれていき、あっという間の1時間半でした。


 


午後は、ハーバードビジネススクールで実際に使用されているケースを用いた、ケースディスカッションを行いました。1つ目のケースには、「Navigating Health Care Delivery」という、患者さんが診療を受ける過程が記されたケースを使いました。ケースから医師と患者間に存在する情報の非対称性や、医師間の連携不足などといった問題を見出しました。どこにでも在りがちでリアリティのあるケースを出発点にして、プロフェッショナリズムとしての医師業に何が必要なのか、患者に最適な医療を探し選択するのは一体誰なのだろうか、どうすれば解決出来るのかという議論をすることが出来ました。課題解決に際しては課題設定が最も大事であり、上辺だけの議論ではなく、深い本質をとらえた解決策を導き出す必要があると実感することが出来ました。


 


2つ目のケースには、「U.S.Healthcare Reform:International Perspectives」という、米英独の医療保険制度が比較されたケースを使用しました。医療の提供側(病院など)、受益側(患者・国民)、支払側(保険者)などといった医療産業界のプレイヤーと構図を把握するところから始まりました。医療をビジネスと見たとき、各プレイヤーが追及している利益が何であるのかということを考えて現在の日本の医療制度を読み解いていきました。山本先生は、ビジネスや経済に関して全く無知な我々でも分かるように嚙み砕いて説明をしてくださいました。現在の国民皆保険制度が事実上破綻していながら破綻することはない理由や、保険料を国民は自由に選べないという事実、掛け捨てである保険制度がいかに現代の医療にそぐわないのか、などといった内容を、我々を巻き込みながら論じて下さいました。私は、医療費高騰が問題視されるのは、それによる利益を受ける箇所が明確化されていない保険制度に問題があるからであり、それこそが大きな問題であると感じました。


 


山本ゼミを通じて、医療が抱える多くの奇妙な課題に気が付き、未来の医療人である我々が何を意識して医療人をする必要があるのか知ることが出来ました。少なくとも今回そういう視点に触れることが出来ただけで大きく行動は変わるのではないかと思いました。先生曰くそのことに気が付いている人はほとんど存在しまいというとこでしたので、これを機に日本を救えるような医師にならねばならないとも感じました。山本先生はまた岡山に来てもよいと言って下さいましたので、今後、岡山大学から医学教育に今回の様なマネジメントやビジネスの視点を学ぶ機会を取り入れていく流れになればなお嬉しいです。


 


最後になりますが、私の願いをご快諾して開催して下さいました片岡先生はじめGIMセンターの皆様、そして気軽に遠路はるばる岡山までお越し下さった山本先生には、心から感謝申し上げます。本当に有難うございました。

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