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Japanese Resident Physician Course at SimTiki Simulation Center

NO.77

Japanese Resident Physician Course at SimTiki Simulation Center

平成29年度 岡山大学病院 研修医1年 臼杵 碧フィリーズ先生

 

私はこの度、ハワイ大学医学部SimTiki Simulation Centerで行われたJapanese Resident Physician Courseに参加させて頂く機会に恵まれました。SimTikiでの研修は、医学部5年生時のSummer Medical Education Institute以来2回目でしたが、今回の研修では研修医に必要な実践的内容を新たに学ぶことができました。 


SimTiki centerは全米でも有数の設備を誇る施設で、医学生やレジデントをはじめあらゆる職種の医療従事者を対象に、数多くのコースを提供し、指導医育成や、教育効果や遠隔医療に関する研究なども行っています。


今回私たちは2日間に渡る研修医向けのコースに参加し、夜間オンコールトレーニング(NOC)や急変対応チームトレーニング(CTT)を中心として学びました。岡山大学病院から4名、岡山市立市民病院より1名、人吉医療センターより2名の研修医の参加がありました。


初日はそれぞれの自己紹介の後、SimTiki centerdirectorであるDr. BergよりアメリカでのSimulation Educationの実情についてのlectureがありました。総じて、アメリカでは日本よりシミュレーション教育に重点を置いており、内容も多岐に渡っている印象を受けました。トレーニングとしてだけでなく、評価(日本ではOSCE等)にも積極的にシミュレーションが用いられている点は、近年の日本の医学部でも同様ですが、アメリカでは入学試験や医師国家試験(USMLE)などでもシミュレーションが重要視されていることがわかりました。また、日本と異なる点として、学部1年時より、それぞれのsystem(産婦人科、救急、泌尿器など)ごとに座学とシミュレーションを組み合わせた講義が行われていることを知りました。特定のsystemの座学を学ぶのと同時期に、そのsystemに関わるClinical skillsのシミュレーションやCommunity Healthについても学ぶことで、早くから具体的な臨床現場のイメージや必要なskillを理解することに役立っていると感じました。


 その後、ハワイ大学レジデンシープログラムを修了され現在もアメリカで活躍されている滝先生より、U.S. healthcare and residency programについての講義を頂きました。アメリカの医学教育の強みとして、①ゴールが明確であること、②多角的・双方向な評価体制、③継続的学習(医師何年目になってもより高いステージで学び続ける)、④標準化されている点(どこでも提供される教育が一定レベルを満たしている)、⑤義務としての教育 を挙げて頂きました。私は6年生時にミシガン大学にて1か月間のclinical clerkshipに参加しましたが、その際身をもって感じた内容を、わかりやすい説明で教えて頂き非常に勉強になりました。アメリカの卒後臨床研修は、ACGMEという団体によって内容が評価・認証されることで質が担保されていることを知り、日本においても同様の取り組みはありながらも、そこまでの機能を持つには至っていないと感じました。また、義務としての教育とあるように、指導医にとって研修医教育は臨床業務と同様に義務であり、怠ることは許されないという認識が強いようでした。滝先生自身も、緊急を要する処置の途中であったとしても、せめて自分が行っていることと考えていることを口に出し、研修医を置き去りにしないよう工夫しているとおっしゃっており、それぞれの医師の教育に対する熱意を感じました。


午後からは3つのチームに分かれて、夜間オンコールトレーニング(NOC)を実践しました。シミュレーション施設は、岡山大学と似ており(岡山大学万代先生より、SimTikiをモデルとしていることをお聞きしました)、機器の使用やシミュレーションの進め方についてはすんなりと理解することができました。症例は3例あり、commonなものや緊急を要する病態が用意されていました。中には一度でも実体験またはシミュレーション経験がなければ気づかないような落とし穴のある症例もあり、非常にインパクトがありました。


2日目は、急変対応チームトレーニング(Ctisis TEAM Training)に挑みました。参加者全員で一つのチームとなり、リーダーや書記を含めた役割を分担して、チームワークを発揮しながら急変対応を行いました。CTTには明確なゴールが設定されており、あくまで「チームワークを向上させる」ことを目標としてトレーニングやフィードバックが進んでいきました。チームでの対応は、別室からモニタリングされ、ビデオとして記録されていました。3回、異なる症例に挑み、1回ごとにビデオを全員で鑑賞し、チームワークについての改善点を話し合いました。はじめは、駆け付けたみんなが同じモニターを確認していたり、すでに誰かがしていることをしようとしていたり、自分たちの行動をビデオで俯瞰して見てみると問題点に多く気づきました。しかし、回数を追うごとに、誰の目からも成長がわかり、自身が付きました。最後には、必要な役割分担が自然と行え、声掛けやアイコンタクト、名前で呼ぶなどのコミュニケーションを駆使して情報を共有することができるようになり、今後の臨床現場でも役立つスキルが身についたと感じました。


今回の研修を通して、シミュレーション教育は、短期間で実践能力を伸ばす良い方法であることを実感した一方、継続して行う場がなければ本当の意味での実力はつかないとも思いました。今後、自分の能力向上のためだけでなく、チームワーク向上や後輩教育のツールとしても、より身近にシミュレーション教育に関わっていきたいと思います。


同行頂きました万代先生をはじめとし、このような貴重な機会を与えてくださいました、GIMセンターおよび卒後臨床研修センターの先生方に、この場を借りて深く御礼申し上げます。有難うございました。

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